育ての親、あまあま婆ちゃん。

家族

産んだ親より育ての親

 

 タイトルにそう書きましたがね、この世に産んでもらった事の感謝を忘れてはいないんですがね。やはり幼少の頃から育てられるとね、育ての親を本当の親と思ってしまいますねん。

 

 私、顎尻おやじは、祖父母に育てられました。幼少の頃から。正確に言えば妹もなんですが二人兄妹。まあ、母方の祖父母に育てられました。(初めのブログにも登場してるんですがね)まあ、当然と言えば当然なんですが、あまり裕福な家庭ではなく、隣の家の声が聞こえる長屋に住んでました。

 昔から良くある長屋。昔の貧しい映画に出てきそうな長屋。

 そこで、爺ちゃん、婆ちゃん、顎尻おやじ、妹は住んでた。仲良く。仲良く。

 今日は、婆ちゃんの紹介。もう亡くなって何年も経つんやけどね。顎尻おやじと妹の母親かな。かなって付けたら失礼やから、母親って言い切る。それぐらい大切にしてくれた、オイラを。

 いつもいつも、婆ちゃん、婆ちゃんって呼んでたな。小さい時から。

 婆ちゃんがいないと寝れない子、婆ちゃんのタプタプの二の腕を触りながら寝てた子。一緒に寝れない時は、婆ちゃんの匂いのついた枕を抱いて寝る子。婆ちゃんの作ってくれたご飯が一番って言ってた子。(今考えると貧しい食事やったがね。)

 それが俺。顎尻おやじ。甘えたな、ばあちゃん子。完全に、ばあちゃん子。

 何をするにも、どこに行くにも、いっつも婆ちゃんと。

 そんな幼少から少年期やったね。バッタ取りに行くのも、川に魚を取りに行くのも婆ちゃんと一緒やった

 

 まあ、そんな婆ちゃんやったけど、昔の人は我慢強いな。なんでも辛抱してたな。貧しさも、夫の酒乱もね。(爺ちゃん、めちゃくちゃエエ人やったんやけど、チョット酒癖だけは悪かった。)ほんま貧しい家やったから子供二人育てるのは大変やったと思う。

 子供の時はあんまり分からんかったけど、ご飯は苦労してたかな。年寄りが作るものを子供の私達が喜ぶことは余り無かったんやけど、色々材料やら工夫してたし、流行りのモノを人から教えて貰っては良く作ってくれたな。基本的にはやはり煮炊きものが多かったけどね

 変わったところでは、年寄りやのにホットドック作ってくれたな。野菜ドック。今でも覚えてる懐かしの味。それを弁当にも持たせてくれた時があった。顎尻おやじはね、子供の頃、ガリチビやったから、よく虐められたりもしたんやけど、いじめっ子にね、そのホットドックを学校の昼食時にあげるとさあ、

      「これ、美味いなー」

って、いじめっ子が言ってね。なんか偉い褒められた感じがしてね、顎尻おやじの心の中でなんやら「自慢」みたいな気持ちが湧き出てね。なんか複雑な嬉しさがあった。ばあちゃんにも、

  「あのホットドックもっと沢山いれて。友達にあげたら美味いって言われてさあ」

なんて言ってね。たくさん作って貰った。そうするとまた、いじめっ子がやって来てね。

      「あの美味いのん、食べてるの、くれへん」

って言ってくる。俺はね、嬉しいもんやから

      「ええよ、ええよ」

って2個あげた。そうするとね、本当にうまそうに食べてくれるのよ。やはり、「取られた」なんて思うより「婆ちゃんの作ったホットドッグ、褒めてくれてありがとう」って感じやった。そして、そんなことしてるとね、その子から虐められなくなった。おやんちゃが治った。

 ウチみたいに貧乏な家が作る、それも年寄りが作るホットドックなんて大量の肉や大きなウインナーが入ってる訳でもない。キャベツと人参、卵。それにバターとケチャップ。ホットドック用のパンにそれを溢れんばかりに挟む。それを美味い、美味いって言うくらいやから、そのいじめっ子も、余り裕福では無かったのかもしれないなあ。

 有難い事にね、妻は婆ちゃんから生前に、そのホットドックの作り方を習っててくれて、顎尻おやじは今でもそのホットドッグをたまに食べれる。そしてそのホットドッグを食べるとね、想い出すね、婆ちゃんを。いじめられっ子のことを。今になるとエエ思い出や。

 あと、爺ちゃんの酒癖には困っていたな。本当に良い爺さんやったんやがね。唯一の欠点が

       「アルコール」

ですねん。困ってましたわな。婆ちゃん。

 一度ね、(まあ、度々なんやけど。)お酒を家の台所に置いたらね。全て呑んでしまったことがあってね。爺ちゃんが。そうすると婆ちゃんがお酒を色んなところに隠すの。台所の流しの下とか、押入れの中とかね。「料理酒まで飲む」なんて嘆いてましたわな。そして、いつも言うのが

   「もう、酒、隠すところがない」

って発狂してましたな。

 そんな時、爺ちゃんの酒をね、あるところに隠してたんですよ。どこか皆さん、分かります??

  正解は

             米櫃(こめびつ)の中!

 でもね、それでも爺ちゃんは見つけるの。隠しているのを見ているのか、アルコールに対して異常に鼻が効くのか知りませんが発見するの。それで婆ちゃんが嘆くのよ。

 いつも呆れてたわな、ばあちゃん。

 その為か?まあ関係はないとは思いますが、私、顎尻おやじは全くアルコールは口にしません。手に振る(手指消毒)だけですねん。

 確かに、ばあちゃんから良く、

    「あんな、酒飲みにあんたはなったらあかん」

って呪文のように言われ続けて来たのも事実ですが、神が与えてくれたのか、アルコールに弱い体で余り受け付けません。まあ、美味しいとも思わないので助かっていますし、今の時代、酒を知らないってことが有難いくらいですから。それこそ、婆ちゃんの呪文に感謝もしてます。

 老後も余り大切にしてやれんかったけど、苦労ばかりでね。ひ孫のタクボンまで育ててね。大変やったとは思うんやけど、子供が大好きで子育てが大好きな婆ちゃん(爺ちゃんも)やったから、それはそれで幸せやったんかな。

 婆ちゃん、最期の最期まで、

       「タクボンの一生」

を心配してたな。

 ほんまに、言葉通り(以前のブログ参照)タクボンと顎尻おやじに一生の後半を捧げてあの世に逝ったな

  「ごめんな。婆ちゃん。何もしてやれんでな」

でもね婆ちゃんに育てられてね、その影響か、遺伝子か顎尻おやじも

      「子供が大好き。」

      「他人の子供でも好きやな。基本的に。」

      「ええよ、子育て。」

色々と大変やけど。そう思えるのも、

      婆ちゃんのおかげ

かもしれんね。(知らんけど…。)

                        つづく…。

 

 

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