幻の焼きそば大会…。
これも以前の話。
顎尻おやじの職場で飲み会があってね、そこでよくお酒を呑まれる先輩と話になって、若い子も何人かいたかなぁ?そんな中で、なんでか知らんけど
焼きソバ
の話になった。理由はよく分からんけどね。
その先輩もよくお酒を飲まれるんやけど、まだその時は酔ってなかったし、皆んなでワイワイしてる中での話。その先輩が
「実は俺、焼きそば焼くのん、メチャメチャ得意なんですよ。」
「なんやったら、皆んなの前で焼いて振舞いましょうか??」
って言い出したんで、そこに居た、若手がニヤニヤしながら
「それなら今度、顎尻おやじの家で焼きそば大会しましょうよ。」
「先輩に焼いてもらって、顎尻おやじの子供にも食べさせて、ほんまに美味いか評価してもらいましょう。」
なんて言い出した。そして後を追うように違う若手が、
「子供は食べたら、美味いか、不味いかは正直に言うもんですよ。」
「良いですね…。」
って事になって、
焼そば大会
なる物をやることになった。
顎尻おやじの家で。その話を帰ってから家族にすると皆んな
ノリノリ
で、
「そんな美味い、焼そば家で食べれるなんてエエやん??」
って家族皆んな目の色変えて喜んだ。
「いつやるの」
「1週間後」
「え、楽しみやなぁ〜」
ってそれぞれが口にした。ただ、妻とモーモー(顎尻おやじの妹)が、
「ただな、ウチのホットプレート、もう10年ぐらい使ってて汚いねん」
「そんな人生の先輩に、わざわざ家まで来てもらって焼そば焼いてもらうのに、こんな古くて汚いホットプレート失礼やで〜〜」
と言い出すので。この際、良い機会と考えて
ホットプレートを買おう!!
となった。
そして、当日、家の掃除も済まして、
机にはピッカピッカの新品のホットプレート
を用意して、家族みんな期待して待った。そして、若手三人と焼そばを焼いてくれる先輩が近くの駅まで来たので、顎尻おやじが迎えに行った際、
「今日は、先輩、わざわざ、ありがとうございます。焼そば楽しみにしてます。」
って言ったら、
???
って顔を先輩がする。
「え、なに??」
「焼きそばって…。」
って言う。そしたら横に居た若手が、
「え、今日、先輩が、顎尻おやじの家で焼そば作って振る舞うって、この前の飲みの時に話になったじゃないですか????」
と言うと、その先輩は
「俺、そんなん知らんよ。」
「全く覚えてない」
「それに俺、焼そば、作られへんし…。」
とバツが悪そうに言う。
え、え、え
これ以上の心の呟きは無かった。先輩や、若手を前に
ニコニコ
はしていたが、当然、
じゃあ、なんで今日来たん?????????????????
って思ってたら、その焼そば店店長する予定だった??先輩が若い後輩を指差し
「こいつらが、一緒に顎尻おやじの所に行って、飯ご馳走になって一杯バカな話をしましょうって言うから来た」
と悪びれずに言うのです。
ヤバイ
家には新品のホットプレートが
まだかまだか
と先輩を待っているではないか。
待っているのはホットプレートだけではない。子供達三人も、
焼そばパーティー、焼そばパーティー
って、はしゃいじゃってる。そう、今か今かと待っているのである。
これは、流石にヤバイ
と思った。
せっかく遠方からきてくれた、罪のない??(本当は重罪だが)先輩にも恥をかかせるわけにも行かないし、後輩達にも悪い。
早速、何も無かったかのように四人を車に乗せ、顎尻おやじの家の前まで来て、四人に、ちょっと待ってもらった。
「実は、あまり家が片付いてないんで、少し待って」
と言ってね。
そして顎尻おやじだけが我が家に入り、子供達も含めて家族全員に
「今日は、訳あって、焼そば大会はできない。一切、焼そば大会の話はするな!!」
と命令??した。家族皆んな、
鳩が豆鉄砲を食ったような顔
をしていたが、そんなの気にしている暇はない。すぐさま机の上に用意した新品のピカピカのホットプレートを片付け、焼きそばが余ったら失礼だと思って買っておいた、焼きそばパン用の?パンも片付けた。そして、子供達に最後に
シー
っと言って口の前で人差し指を立てて、
「絶対に焼そばと言ったらアカんよ」
って念押しした。
そこで偉いのが妻である。妻は、職場の先輩が来てわざわざ焼きそばを作ってくれると言うので、それだけでは悪いと思い朝から色々な料理を先輩や若手のために作ってくれていたのである。
ラブリー妻!!!
そして私もキャンプ用のクーラーにビールなどをてんこ盛り、キンキンの氷とともに冷やしておいたので、一応、形は取り繕えた。
そして、四人を家の中へ迎い入れて、何事もなかったように、初めから顎尻おやじが四人を妻の手料理で持て成す日であったかのように、家の中の空気を一瞬で入れ替えたのである。
また子供達も偉かった。先輩や若手と一緒に食事をしていく中で、全く、
「焼そば、どうなってるの??」
とは、一度も発しなかった。顎尻おやじは、
それだけは、言わないでおくれ…。
と心底願っていたので、子供達の忖度が嬉しかった。
だってね、職場の先輩に恥をかかせられんでしょう??
そして子供達の忖度と妻の手料理のおかげで、本当に楽しい時間を職場の仲間と過ごせた。そして、妻の手料理を
美味い、うまい、ウマイ
と言って完食してくれた四人の顔を今でも覚えている。最近はコロナでウチにお客さんを招くことなどなくなったが、
またこんな機会があればなぁ
とも思う。そして、たくさん買っておいた、焼そばパンにする予定のパンは、
婆ちゃんがよく作ってくれたホットドッグ
に妻が生まれ変わらせてくれた。
更に、新品のホットプレートはしばらくは家のクローゼットの中でお休み頂いたのは言うまでもない。しかし、改めて言う。
酒呑みの言う事は信じたらアカン!!!
教訓となった日である。
つづく…。
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