8月は戦いの夏、緊張(金鳥)の夏①

空手

二人揃って、毎週空手の大会に出続ける…。連れて行くだけでも大変。

それは、ハウルの一言から始まった…。

「俺な、試合すると緊張で、思い通りの試合が出来ないし、当然、あなた達の声援もアドバイスも俺の耳には届いてない…」

「でも、年間20回ぐらい大会に出たら、慣れてくると思う。」

と言った。そしてレモンに聞いても、一緒に出るって言うから、7月30日を皮切りに8月の週末は全て空手の大会出場する予定を組んでいる。

 所謂、これこそ全賭け。

若干、妻も呆れけだが、それでも子供達が出るならと、参加に協力的。

 さあ、どうなることやら。

 

 その出場する大会は道場の大会もあるが、いわゆる他流派の大会もあったり、その小規模の大会を勝ち上がって、より大きな一年に一度の大会にでる為の予選会にもなっている大会もある。

 今、1番目標にしているのは、リアルチャンピオンシップという大会。来年1月にある本戦の大会に出る為、予選会に出続けている。今のところ、出場権は得ていない。

     何故なら、負け続けているから…。

 現状、ウチの弱っチは、(ハウルとレモン)そういった大きな大会の予選会ですら勝てない。負ける。負ける。

 

 ただ、少しだけ変化が出てきた。ハウルは1回戦を勝つことが出来るようになり、レモンは3回戦くらいまでイケるようになってきた。レモン曰く、

 「これだけ試合やると、さすがに慣れてきた。顎尻おやじの声援やアドバイスも聞こえる」

と試合に出続けている効果が若干出てきているし、緊張の方もマシになっているようだ。

 

 問題は、怪物君と言っても良いほどの体格の持ち主、ハウルである。

 ハウルが言う程、大会に多く出ることで得るものが、今のところ余りない。

 未だに極度の金鳥いや、緊張を抱え込んでいるし、なかなかリラックスして自分の実力の半分も出せない。普通に戦えたら、いや、能力の半分でも出せたら、もっと良い試合をする実力はもっている。

 それが、半分もだせない。

 極度の金鳥いや、緊張である。(ひつこいなぁ…。)

7月30日、とある会場にハウルとレモンはいた。受付を済まして、軽くウォーミングアップをして準備万端。試合はいつもレモンからのことが多い。八月5連戦を含め、6連戦(毎週)の1戦目。

 レモンはなんと、一回戦は不戦勝。勝ち名乗りをうけた。

  (知らなかったが、主審から一声あって、レモンに対し、「次の試合は一生懸命戦って勝っね」と言ってくれたと喜んでいた。主審のお人柄が表れた、素晴らしい一言である。)

 

 そして2回戦。対戦相手はシードされていた子。シードされているぐらいやから戦績が良いのだろうが、空手の試合は沢山ありすぎて、レベルも開きがあり、なかなか評価が出しにくくなっているのが現状。なぜなら、全日本王者が無数にいる始末…。

 

 試合開始。セコンドには妻と、顎尻おやじにハウル。そして一緒に試合に出場していた同じ道場の子供。みんな一斉に声をかける。相手の子供のセコンドも沢山の人が応援している。素晴らしいことだ。

ただ、それだけに選手の子供達は緊張感がグッと高まるのだろう。

 (ここで、ハウルは顎尻おやじの声援のデカさにウザいと思ったらしい。)

 滑り出しは良く、レモンのペースで戦えている。そして、顎尻おやじ直伝、得意の

 上段前蹴りが

変則的に決まり、技あり。そして試合続行になって、引き続き上段をレモンが無理に狙って行くが決まらない展開で試合終了間近、レモンの上段前蹴りがやはり変則的に決まって、

    技あり。合わせて一本勝ち。

主審の声掛けの成果か、良い試合運びと結果だった。(主審、ナイスな声掛けありがとう…。)

 

 そして、3回戦。私とハウルが対戦相手のそれまでの試合を見ていたら、なかなか強い選手。レモンに気をつけることなどをアドバイスして、いざ、決戦。これに勝てば決勝戦。レモンは試合中も我々の声援やアドバイスは確実に聞こえているらしく、余裕もある。

 しかし、試合が始まりレモンのペースとは言い難い展開で、試合終了。

 判定で相手に旗が一本あがり(三人の審判で判定)後の二人は引き分け判定で、結果、引き分けとなり延長戦。親の目からみたら、完全に引き分けと写っていただけに、少し負けていると審判から言われたように感じ少し焦りも…。

 そして延長戦が始まり、積極的に得意技を出して行くレモンであるが、少し空回り。少し狙いすぎて相手に読まれている感がした…。そして、判定。

 三本の旗が相手選手にあがる。

 負けた…。

レモンは泣きそうになっている。多分、負けたとは思ってない試合内容。見方によってはレモン勝利と言っても良いくらいの接戦。でも

 負けは、負け。

気分を変えてまた練習するしかない。

 そして、ハウルの試合。

 ハウルの相手は超ドデカ、ラグビー部か相撲部かはたまた、柔道部かと言うような素晴らしい体格の持ち主。だいたい大会にでて、そういった子の相手をさせられるのが、ハウル。何故ならそれに負けずの体格を持っているから。でも今回は体重だけなら相手が10キロ位重そうに見える。

 試合前に色々と言っても頭にいや、耳にも入らないタイプがハウル。見ててもすごく緊張している。どれくらい緊張してるかって?????表現しにくいが、あえて表現すると、

 3週間ぐらい大便せずに便秘のまま、お通夜に参列している人の顔

ぐらい複雑な面持ちだ。

 ハウル、試合開始。

  じっくりと腰を落として、相手が来るのを待って攻撃する。

と言う戦略を立てていたが、すぐに頭が真っ白になって…。

   攻めに出た。

決して悪いことではない。前に出れずに歯痒い思いをしてきた顎尻おやじと妻である。そんなハウルの戦いを嬉しくも思うが、これが頭が真っ白になった末での戦闘体制だけに微妙な感じ。

 そして、ハウルが前に出る。出る。蹴りまくる。相手の大きな体が苦痛に歪む。相手も黙ってはいない。フルに体を利用した、突きと下段蹴りを返してくる。

 ハウルのバランスが崩れる。

そして試合終了。判定。

 ハウルに旗が一本あがるが、判定引き分け。延長戦へ。親としては完勝であったように見えたがやはり贔屓目なのかハウルはなにより延長戦が嫌いなタイプ。若干顔に出ているが、以前のように露骨ではない。そして延長戦が始まり

 前に出る。作戦も忘れて前にでる。

 ちなみに、顎尻おやじの声援がウルサイ問題が我が家の会議で議題となるが、その原因はハウルにある。どれだけデカい声でも試合となれば、ハウルの耳にアドバイスを届けるのは至難の業である。トラメガを使って耳元で喋らないといけないくらい。

 だからもう何年もセコンドについて必死にハウルにアドバイスを届けようとすると声がデカくなる。(大学で応援団をした経験もある顎尻おやじ。声はデカい。どの空手道場の大会に言っても、吾輩より声のデカい者はいまだに知らない。そんじょそこらの師範より声がデカい。声援が始まると大概、私に注目が集まるほど。)だから仕方ない…。

 

 話戻して、本戦同様、ハウルが前に出て蹴りまくる。珍しく積極的。逆に心配になる。

そして、判定。

 三本の旗がハウルに上がり、優勢がち。

本戦延長戦と戦ったハウルの頭からは湯気が出ている。水分を補給させ体の熱をとり次戦に。

 

 次の相手は細身の背が高いタイプ。おそらく上段蹴りがメインの選手。ハウルに比べると器用ではあるがパワーは劣っているような前戦の観想。

 そして、この戦いがハウルの決勝戦。(参加人数が少ない。デカい。学年問題等などで。)

 試合が始まっても作戦通りにせず、ハウル珍しく

  前にでる。前に出る。

若干、前半はハウルの攻撃が効いて攻めているようにみえるが、後半、突きで押される。そして、金的蹴り(反則)をされ、倒れ込むハウル。

 以前なら、ここで完全に負けているハウルであるが、落ち着いて時間をかけて立ち上がり戦う姿勢をみせる。(これだけでも成長。成長。)

 そして劣勢を振り払おうと、果敢に上段を攻めるも効果的な有効打はなしのまま、判定に。

判定。

 相手に三本の旗があがった。

悔しかった。顎尻おやじが悔しかった。

 決して勝てない相手ではない。後で試合の映像を30回くらい観たがそれでもやはり勝ててた相手であったし、勝たなければいけない試合であった。それだけに残念無念。勝って本戦の大会に出る権利をハウルに得て欲しかった。

 妻は、若干キレ気味。

まあ、勝って欲しい気持ちの表れ。

 当のハウルは清々しい顔。いつもである。情けない話であるが、ハウルは試合に負けても勝っても、レモンの様に悔しさを前面にだしたり、泣いたりしない。

    何故か…。

それは、なにより勝った、負けたなどとう言う小さなことより、極度の緊張感から解放された嬉しさが勝つからである。それこそ、無理に表現すると

 3週間ぐらい便秘で苦しんだ後に、ひょんなことから快便となった人

ぐらい爽やかな顔をされる。いつものハウルである。しかし、今日のハウルは少し違う。負けた悔しさを妻がハウルに言うも、ハウルは

 「今日は、成長が見えた…。」

 「思い切り戦えた。」

 負けたけど、思い切り蹴れた。今までとは違うねん

と妻に言い返してた。

     それなら、ええ、それなら…。

ほんまに嬉しいわ。親として。自分で成長を感じられたのなら、負けても意味もあるし実もある。次戦に繫がる。ほんまに蹴りすぎて若干足を痛めたらしいが、それも勲章。

 漢の勲章。(嶋大輔だけが持っている…。)

そして、ハウルは一応、表彰状とトロフィーを貰ったが、

 「要らん」

と手にしなかった。(一応、表彰状もトロフィーも持って帰りましたよ。当然)

 負けたのが悔しかったのだろう。手にしなかった気持ちは痛いほどわかるし、それぐらいでないと応援しているこっちも嫌になる。

 さあ、八月!!

連戦が始まる。こんな連戦は初めて。どうなることやら…。連れて行く方もサポートするのも結構大変であるが、

      やるかぎり、とことん付き合う。

 親として。同志として…。

       今日も今から出陣じゃ!!!

                        つづく…。

 

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