歌う絶叫格闘家でも目指すんか…。先生の発想に顎尻おやじも脱帽。感謝、感謝!!
この物語は、アディダスカップの惨敗及び、これまでのハウルの普段の試合の不様な負け方が引き起こす物語である。
きっかけは、あの屈辱のアディダスカップ参戦。この空手の大会にわざわざ道場の先生が日曜日の稽古を早めに切り上げてハウルの為だけに観戦に来てくれた。これは、初めてのことである。同じ流派の大会でも審判やら大会運営に忙しい先生は、今までハウルやレモンの試合を見たことがないのが実情である。
その先生の前で、
惨敗
のハウル。
先生に見に来てもらったこちらとしても、辛かったのが正直なところ。ただ、このアディダスカップの話には続きがある…。
アディダスカップを終えて、初めての練習の日、終わり20分前ぐらいに道場の前に行くと、顎尻おやじの姿を見つけたレモンが指で
下、下
と指している。
初めは何のことを表しているのか分からなかった。ただレモンが練習中に、そんな合図を出してきた事は今までない。ただ道場内を見ると先生にハウルが居ない…。指導は指導員補佐の女子大生かな?先輩がしてくれている。
が…。ハウルの姿が見当たらない…。先生休みか???って思ってたら、レモンが道場内から何か言っている。
レモンの口を読んで見ると、
からて
と言っているように見える。そして、
下、下
とスパーリングの合間にしてくる。
ハウルが下で空手やってるのか?
それとも、
下はカラオケ(Karaoke)やから、何かやらかして謝りに行ったか??
と想像を膨らましていたが良く分からん。ただ道場内の生徒を見ると、
みんな、ニコニコ
した雰囲気で稽古を続行している。
なんなんや??
って思ってたら、
ハウルや先生の笑い声
が階段から聞こえてきて、道場前まで上がってきた。
先生にハウル、そしてハウルの同級生2名の四人
そして、顎尻おやじが先生を見て、早々に
「先生、先日はわざわざ遠方までアディダスカップにハウルを見にきてくださいませして、ありがとうございました。」
と言うと、間髪入れず先生が、
「顎尻さん、早速実践してみました。」
「ハウルが上がらない様に根性つける為に!!」
「今、四人で下のカラオケ行って歌ってきました。」
と言うのです。顎尻おやじの頭の上に
????
が出てたんですが、そのまま四人は道場に入って他の道場生と合流して最後の挨拶等をし稽古を終了してハウルとレモンが出てきた。
そしてハウルが大笑いしながら、
「先生が俺の緊張しない漢にする為に、メンタル弱い子を厳選してカラオケで根性つけるって言うて、皆んなで歌ってきた…。」
「メチャクチャ面白かった」
「今年1番大笑いしたかもしれない」
と言うと、横で聞いていたレモンは、
「俺は今までで1番、先生を偉いと思った。(あくまでも上から目線)」
「先生、トイレ行ってて閃いたらしいで!!」
「そして、試合でメンタル弱い子が厳選されてカラオケに連れて行かれた」
「俺は、試合でメンタル強いから選ばれなかった!!イェい!!」
とピースサイン。
なんや、よう分からんし効果があるかは知らんけど、
KARATE(空手)に来てKARAOKE(カラオケ)
ってなんか、
ええやん
って思った。それより、試合見にきてくれて、すぐに対応してくれる先生の気持ちが嬉しかった。親として素直に嬉しかった。なんかオモロかった…。
ハウルはその期待に応えれるやろうか…。
それでは、また。つづく…。
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