ソーリャー、そーりゃー、そーリャー!!

空手

祭囃子に乗せられて、正道会館のadidasカップを目指して、岸和田だんじりバトルに参戦!!

 先日のお話。大阪には正道会館と言う空手団体がある。世に知れたK-1を創設された

   井和義館長

が率いる団体である。

 正道会館。

 佐竹、角田、玉城、柳澤、後川(呼び捨てで失礼します。)などなど、名選手を育て上げ、

 極真会館

と言う牙城に一太刀入れようと挑戦してきた団体。そしてそのエネルギーが

 Kー1

と言う、格闘技の最高の舞台を作り上げたと言えると思う。

 

 その正道会館に30数年前に5年ほど、顎尻おやじも在籍していた。大学時代に梅田のスポーツ専門百貨店とも言える。

 イングス

その出入り口のところで、デモンストレーションをしていたのが、佐竹選手や角田選手であった。

 当時は、まだK-1等も始まっておらず、一部の空手家、空手愛好家ぐらいにしか知られてなかったと思う。そして、そのデモンストレーションを見て心を奪われて、正道会館の門をくぐる事になった顎尻おやじは、日々人を殴ることしか考えてない(活字にすると危ない奴に見えるが…)青春時代であった。

 そして、道場で、佐竹選手や、角田選手、後川選手等に教えて貰えるのが嬉しくて、嬉しくて仕方なかった…。

 当時は私の影響で、友人が同じ道場に通った時期もあったほど、熱狂していた。

顎尻おやじにとって大変思い出深い、正道会館でありますが、今回、初めてハウルとレモンが

 正道会館の全日本大会であるadidasカップに出場するため、その最後の予選会である

 岸和田の名門道場、高雄道場主催

 だんじりバトルに出場

することとなった。なにせ今年の春から色々な空手団体の試合に出場することになったのですが、

 正道会館

の試合は初めて。

 正直、ハウルとレモンは色々な試合でも正道会館所属の子供と対戦したことも数が少ない。一度、4、5年前にハウルが自分のところの道場主催の大会で正道会館の黒帯に

 フルボッコ

された記憶が顎尻おやじにもハウルにもある。

 

 そして、正道会館の高雄道場には強者が多いように思う。顎尻おやじが考えるに先生の指導力プラス、子供達が熱狂するような環境に持って行けている道場であるとインスタなどから感じているところである。

 そんなところに、他流派の弱子、二人が殴り込みって言うと強気なんですが、参加させてもらうなんて、正直大丈夫かなぁ??と思っていたのも事実。

 それに正道会館の大会はルールも少し違うので、その辺りも心配の種であった。ただウチの弱子二人には有利に働くのではと感じていた。

 そして試合当日、岸和田の体育館に向かう前に

 手作り弁当

を買っていったのですが、そこでハウルが選択したのが、

 「俺、腹減るから、弁当、2個買ってーーーー!!」

って母親に申し出て、チーズハンバーグと唐揚げ弁当二つを購入。顎尻おやじは、

 「ほんまに、こいつ勝つ気あるんか???????」

って思っていたのですが、腹が減っては戦は出来ぬって言葉もあるくらいなので、仕方なしに承認。

 

 そして、試合会場に。試合は午前、午後と分かれておりハウルとレモンは午後からのそれも最後の方の試合。それでも朝イチから来たのは、ルールを見て覚えるためと、同門の道場生が何人か出るので、その応援も兼ねて朝から出陣。

 開会式で久しぶりに

    石井館長

を目の当たりにして、懐かしいと思った。そして館長としての大会挨拶が素晴らしく、人間的にも相当修行されているのだなぁと想像させてくれる挨拶で感動。昔は威圧感すらあった石井館長ですが、今は、なにか円やかな、オーラを纏った感が満ち満ちていた。

 そして、同門の道場生たちの試合を見ていると、ルールが違うも子供達はよく理解しているのか戦い方が今まで出て来た試合とは違う。明らかに…。簡単に言うと、

 上段蹴りなど、上段を狙う選手が多く、前傾姿勢ではなく、アップライトに構えている

子が多いように思えた。ウチの二人は、元々アップライトに構えて上段を狙うタイプなので、対応できるのでは?!と思っていた。

 同門の道場生達が試合を終えている中、二人はどう感じていたのか…。

 そして、午前の試合が終わり昼食休憩があり、二人も体育館を出たところで、買い置きしていた弁当を食べた。そしてお約束通り、ハウルは弁当を二つ食べるのかと思いきや、二つ目の弁当、半分を食べたところで、

 「俺、試合勝ちたいから、半分残す…。」

と食いしん坊のハウルが冷静な判断。おかしい。体調でも悪いのか??って疑うぐらい。珍しいことを言う。

 そして午後の部。初めに試合のあるレモンのアップをハウルが務める。最近はそうしている。顎尻おやじがやるのも良いのですが、弟のアップを兄が務めるなんて自分の為にもなるしね、色々とコーチング的なことも覚えていかなければならない年代やしね。

 

 試合終盤、レモンの試合が回って来た。同門道場生は午前中に試合を終えてるにも関わらず、残っていてくれている子も居る。相手は黒帯、格上の相手。試合になればそんなことは、関係ない。多分、子供達もそういったことは、気にしなくなったのでは…。以前は良くそんなことばかり試合前から気にしていたが、

 帯の色なんて関係ない。

 強い者は、強い!!

ってわかって来たと思う。

 そして、試合開始。

 いつもより、レモンも相手も下段蹴りが少なく、上段の膝蹴りを狙うような展開が続いた。そして中盤ぐらいで、相手の膝蹴りが五発ぐらい連続でレモンのボディーへ打ち込まれた。決して効いている様には見えなかったが、見栄えが悪い展開。そしてそのまま一進一退の展開が続いてフィニッシュ!!判定は、惜しくも??

 相手方に旗が上がってしまった。

 完敗とも、ルールに慣れてない等の負けではないかなぁ。今一歩、決定打のない負け

であった様に感じた。

 そして、ハウル。ちょうどレモンが試合場で待機している間にハウルのアップを…。

 アップ場にハウルの蹴りのパワフルなミットを蹴り込む音が響きわたる。ハウルより上の年代は試合がないし、ハウルより圧倒的にデカい出場選手もいない。ハウルが蹴り込むと一瞬、アップ場の空気が変わる。

 そこらかしこでアップしている選手も親も、手を止めてハウルの蹴りを見る。

 陰でこそっと、

 「凄いパワーやなぁー」

 「あれで中学生ぐらいなん???」

って声も聞かれる。

 そう、そうなんです。ハウルはメチャクチャパワフルなんです。だからリラックスしている時のハウルは一般部でも戦えるだけのフィジカルと技を持っているんですが、なにせ、

  極度のドキンちゃん

  ど緊張でロボットの様な動きになるので、未だ能力の半分も出したことがない。

ハウルの技術や、パワーを知っている人が試合を見ると、いつも

 能力の5%も出してない…。

と嘆く。親の私もそれを良く理会しているので、どうにかして能力の半分でも出せたらと必死なんですが、何故か上手くいかなくて…。

 今年の4月から、これだけ試合に出る様になったのも、ハウルの一言がキッカケ。

 「俺でも連続で、20回ぐらい試合に出たら、試合で緊張しなくなる様な気がする…。」

この言葉を信じて、

  全賭け

してきた。そしていつもアップ場では良い動きがまだ出来る。今日もいつもと変わらず、軽快ながらもパワーあふれる突き、蹴り、膝蹴りで終えた。

 

 そして、試合待機中、

     真上を見上げるハウル

がそこにいた。何をしているのか尋ねると、学校の卓球クラブの顧問が試合の緊張を解す為に、

  上をみるルーティーン

を教えてくれたようだ。これなら胸も晴れるし、呼吸の妨げにもならないからと学んできたのをしているらしい。どうやハウルはハウルなりに考えているようだ。

  これも成長のひとつ。

 そして、試合となり、名前を呼ばれて出ていく姿も色々な強者が出ていく姿を見て学んだ成果が出ている様な堂々としたものであった。顎尻おやじは、そこで、いつものハウルと何か違うことに気づいた。

 そして、試合開始早々、異変が。いつも棒立ちくんのハウルが

     腰を落としてどっしりと構えている

のである。(後で聞くと妻は、その姿を見ただけで泣きそうになったらしい。)セコンドは当然、負けたレモンと妻。私は場外。ただ場外でも分かる様なハウルの異変。そして開始早々、

  重い下段の3連打

相手はハウルの倍以上の手数を出すが、ハウルが押す展開。そして、突きから下段、中段の膝を相手ボディーに突き刺してからの

     上段膝蹴り

相手のヘッドガードの強化プラスティック??の部分に直撃し、場内に

 小さなプラスチックのバケツを蹴り上げた様な感じの音

が響いた。

  技あり??

正直なところ、その時は、有効なのか技ありなのかは分からなかったが、審判が全員ハウルの上段膝蹴りを取ったようだ。

 こんな事は正直ない。これまで4歳から空手を習い、道場主催の空手の試合、年4回ある大会にはほぼ参加して来た。その中で、この試合は「これで、いこう」なんて試合前に話し合ったりする。でも、それが一度たりとも実現したことがない。

 それが、いつも出来ない事が、目の前で現実になっている。そら、腰を落とした息子を見ただけで妻が

 泣きそうになった…。

気持ちも分からない訳ではない。それだけ稀有なことだ。でも目の前には、何か少し変化を見せようとしているハウルが戦っているのは間違いない事実であった。

 

 その後も、相手の反則行為などもあるも怯むことなく、押す、押す、押忍!!空手で試合を展開し

    完勝、圧勝!!

多分、こんな光景を見るのは初めてではないだろうか、いや間違いなくお初である。そして、全力を出切った感のあるハウルが、試合場から退いて来た。感じからするとまだ、50%ぐらいしか能力を出せていないが、今まで

 5%の能力しか出せない逆北斗神拳の達人

と言われていたハウルが

     ええ顔

して戻って来た。そして、数試合後に行われる2回戦の為に水分補給などをして心拍を落ち着かせた。ハウルの横でタオルで顔を拭いたりして支えている妻もいつもより、若干嬉しそうに見える…。

 そして2回戦。試合場の外でハウルが、相手選手とお互い背を向けて並ぶ。見た限り背はハウルの方がデカいが体格は負けている、体重もハウルより5キロ以上は重いと感じた…。ひょっとすると今のハウルなら、そんなこと関係ないかもしれない。

 相手を3倍以上大きく見える癖??

 自分が持つ能力の5%しか使わない、慎ましやかな、逆北斗神拳が炸裂

してないかもしれない。

 そんな事を顎尻おやじは思いながらも、試合開始。

 さっきと打って変わって腰が落ちてない構えになっているが、変わらないのは前にでる気持ち。いつもはない気持ち。

 しかし下段が出ない。先程、上段膝蹴りが決まった余韻が残っているのか、無理に上段を狙いにいっている感が否めない。そこは勝ちになれてない弱子の宿命。それでも前にでる気持ちだけはあるような試合展開。膝蹴りで相手のデカい体を下がらせていく展開で、途中相手の急所に膝があたったようで、ハウルの反則。試合が一時中断。

 

 相手選手の回復を待ったが全く良くならず、試合中断別の試合後に残り時間戦うこととなった。すでにハウルは汗だく。相手選手には大変申し訳ないが、顎尻おやじがハウルに

 「気にするな、わざとやないんやから、自分の呼吸を整えることに集中。切らすな気合いを」

と熱く語っているとね、息は上がっているものの、どこか気合の抜けた様な柔らかい声で、ハウルが、

 空手、メチャクチャ面白い。こんなデカい奴と真正面から戦うと、面白い!!

って言いよった。顎尻おやじはその時、

     ひょっとしたら、化けるかな

と感じた。

 人間は誰でも、「面白い」と言う感情がなければ集中できないし長くも続かない。まして辛い努力を努力と捉えてしまう。面白かったら、辛いものも、努力も努力と捉えず出来るようになる。今まで10年棒に振って来た感がある空手の道ですが、少しは光り輝くものになるかもしれない…。そう感じさせてもらった。

 そして試合続行。いつものハウルなら相手選手に悪いと思ってしまい、イケない弱さがあるハウルであるが、今日は違う様だ。試合再開そうそう、前に出る。以前なら怖がって反則を取られた技は出せないはずのハウルの膝が容赦なくデカい相手のボディーに突き刺さる。そして、判定。

 旗は両者に上がらず、引き分け。

そして、

 延長戦。

延長戦も以前なら、嫌な顔を露骨に出していたハウルが、今はそんなことはない。淡々と息を戻し、そして延長戦開始。

 それでも前へ、前へ。自分の体重をフルに活かした膝蹴りと突きで押していく。相手は力尽きた感もある。急所へのダメージも残っていたか…。そして、判定へ。

 ハウルに五本の旗が上がった。

本人も嬉しそうだし、レモンや妻も次に試合があるのを忘れて、はしゃぐ始末。ジブリに

     ハウルの動く城

と言う名作があるが、ウチのハウルは動かない動けないので有名であった。それだけに動くハウルを見て「嬉しかった」と妻は後に語っていた。そして、

  決勝戦。

あまりウチの家には関わりのないであったが、なんとかハウルがもぎ取った決勝戦。どうなることやら…。

 そこでハウル曰く、

決勝相手選手、前回の試合が不戦勝で戦ってないから、全く試合してない…。」

と言う。以前なら

「相手は全く戦ってないから、体力あるし負ける!!」

って確実に口にするところを、

「だから相手、初戦やから緊張して動きが硬いから勝てる!!」

って言いよる。なんてエエ感じなんでしょう、その心の持ち方。

 そして決勝戦。試合会場での最終戦である観客も多い

 試合開始早々、ハウルの勢いは止まる事なく、前に出て攻める。その攻めに相手選手も若干怯むようなところを見せる。第二試合では残念ながら出なかった

 大和(ヤマト)の大砲、下段蹴り

を撃つハウルを見て、

 イケる

と思ったのも束の間、相手がハウルの2試合を見ていたからか、それとも自分で喰らって気づいたか、上手くハウルの下段をかわして距離を取り、打っては離れ、打っては離れる、アウトファイターの様な攻撃を展開。ががっぷり四つに組み手をしたいハウルは前進するも、要所要所で交わされて、上手く攻められた感がある。押してはいるものの、勝ちきれてない、そんな感じ。

 そして、試合終了。持てる体力を全部出し切ったが、判定は。

 ハウルに旗は上がらず。

   完敗

となった。

 でも準優勝のトロフィーを手にしたハウルは若干、清々しい様に見えた。負けたけど自分の中で何か、

 出し切った

感があるのだろう。

   ええ顔

してた。それは、妻やレモンもそうであった。今までウチの家族では感じたことが無かった試合での感想、 

 出し切った、思い切り戦った感

が見えた瞬間だった。

 これで、正道会館のadidasカップにハウルは出場できる。

 「決勝の相手には負けてない、本大会で借りは返す

と言っていたハウルの言葉に期待したい。顎尻おやじ的には、第二試合の途中にハウルが少しニヤけて発した言葉

 「空手って面白い…。」

と言う言葉を信じてこれからも親子空手を続けていきたいと思った。

   何か変わる

そう感じれた、正道会館、高雄道場主催、だんじりバトルでした。

 それでは、また…。つづく。

 

 

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