さあ、ハウルとレモンの戦い➕九州からの戦士が出場!!
さあ、ハウルの戦いの続き。
ハウルはチハルさんの声に後押しされる形で、前に出た。しかし、
間合いを詰められる
いつもの悪いパターン。ハウルは少し相手を伺いながら技を出している感が否めない。相手の細かな突きと下段に押されるまではいかないも、手数では完全に負けている。
なんとか打開できないだろうか…。
と思っていると、また後ろから、
「ハウル君、がんばれ!!」
とチハルさんの黄色い声援が飛ぶ。どうだろうか?家族以外にこれ程ハウルが声援を浴びることはあっただろうか…。正直なところ記憶にない…。(ただ残念なのはハウルには届いてないことだ…。)しかし、試合展開は変わらない。
相手選手の小刻みな突き、効いてはいないだろうが、
見栄えが悪い。
それに、下段蹴りでリズムを完全にとられてる感のあるハウル。時折、ハウルも良いローや膝が出るのだが形勢を逆転するまでには至らない。そして仕切り直そうと思っても完全に相手の間合いで試合をされている。間合いが切れない。そして判定。
相手選手に旗が上がる。
完敗である。
チハルさんも心なしか顎尻おやじに声を掛けにくそうにしている。あれだけ応援してもらって申し訳ないが、完敗だった。動きはいつも程堅いわけではなかったが、相手選手が1枚も2枚も上手であった。正直、強い選手とは聞いていたが、効いた突きや蹴りは無さそうだった(親の負け惜しみ…知らんけど…。)が間合いを制圧されての完敗だ。
本来なら、鑑賞に浸り、反省会をハウルと二人でするとことだが、それもできない…。
何故なら、横の試合会場でレモンが戦っているから…。レモンはなんと二試合も勝ち進み、なんと決勝戦へ進んでいたのだ…。私が駆け付けた時は、試合の間が少なくインターバルをもらっていたようだ。ハウルはまだ、うなだれており、
「レモンのセコンドにつくか?」
と首を横に振る。どうやら戦っているハウルは引き分けか?勝っていた?と思ったらしい。しかしそれはない。贔屓目に親の目で見ても負けていた…。そのギャップが埋められず…。
珍しく、顎尻おやじと妻がセコンドに。
レモンの試合がスタートする直前、相手選手の横に、
某有名会館の代表がセコンド
にいることが分かった。
レモンはこの先生が好きでない。何故なら、以前の試合で絶対に勝っていると思っていた試合で、相手選手にその先生がセコンドにつき、試合後主審がレモンに上げるも副審二人がセコンドの先生を見て忖度采配??をされた試合があるので、彼らは(ハウルもね。)その先生が好きでないのだ。
今回の試合もその先生がセコンドにいる事をレモンに告げると、
メラメラと闘志が湧いて来た
ようだ。そして顎尻おやじは、
「あの時の悔しさを忘れてないやろう…。」
「今日は、あの時の借りをキッチリと返せ。」
「文句のつけようのない試合をしろ」
と耳元で囁いた。レモンはそれに頭を縦に振り答えた。
試合開始。積極的に前にでるレモンに相手選手の強い蹴りと突きが突き刺さる。相手選手の方が体格といい体の使い方といい勝っている。そしてレモンの距離を潰しに入ってくる。その為、レモンは重心が高くなり立ってしまう戦い方になる。
うまいなぁ
と心の中で思っていると、相手選手のセコンドから先生の劇が飛ぶ。それも顎尻おやじに負けないほどの
デカい声
で。何故かその声を聞くと、こちらまで奥歯が痛い。横の妻も重心が高いのを気づいたのか
「下から、下から!!」
と顎尻おやじの専売特許!!
「下から!!」
を奪い、
下からオバサン
になっていた。でもナイスなアドバイスだ。しかし徐々に試合は相手ペースで中々、レモンの間合いを作らせてくれない。その刹那、レモンの
変則の上段蹴り
が炸裂した。旗は上がらない程度だが相手選手が怯んだのが分かるほど…。
「行け、いけ、イケ!!」
と妻と一緒に全力で言うも、試合間隔が短かった為にバテたのか、何故か相手の動きを見てしまい、畳み掛けることが出来なかった。
くそーーーーー
と心の中で思うも、最大のチャンスを逃してしまった。そして、そのまま相手選手は息を吹き返しまた、レモンの間合いを崩し強い突き蹴りをだす。セコンドの先生も
ノリノリ
で、じっとしてられないのか動きまくる。またその動きが顎尻おやじの心を逆撫でる…。そして試合終了…。判定!!は
相手選手に旗が上がる。
これも当然の負け。しかし、あのチャンスをモノにできていれば…。
泣き崩れるレモン。
本当に悔しそう。相手選手に負けたのもそうであるが、あの先生がセコンドに付いた選手に連敗したことも、
涙の数を増やさせたのだろう…。
妻も
「良くやった!!」
とは言いながらも、苦虫を噛み砕くような表情であった。顎尻おやじは天を仰見るような仕草で
負けたかぁ…。
と心の中で呟いた。そして、またしてもチハルさんが顎尻おやじの近くに来て、二、三声を掛けてくれた。自分の息子の試合まで余り時間がないのに…。
優勝
して弾みを付けたかったが仕方ない。ハウルも自分の負けを引きずりながら、更にレモンの負けで
意気消沈
だ。
それでも、泣きながらトロフィーを貰うレモンに、同じ道場の別支部の親御さんが声を掛けてくれる。
「ナイス、ファイト!!」
ってね。
試合場から離れて、記念撮影をする場所に来ても悔しさが止まらないレモン。優勝できてたら
念願のJACに出れたのに…。
と家族全員思いながら写真撮影を待っていたところ、同じ道場の別支部でお世話になっているお母さんが私たちに、
「おめでとう、ウチの道場で今年初のJACの権利やね!!」
と満面の笑みで褒め称えてくれた…。その言葉に妻が
???
「いや、準優勝やから権利ないんですよ!!」
「先ほど、大会運営の方にも聞きに行ったら、やっぱり権利はないそうで…。」
と悔しさを滲ませながら言うと
「いや、大丈夫なはず!!」
「ルール変更で優勝者しか権利獲得できないのん、この春からやから。」
「絶対行けるよ!!JACに!!」
って言ってくれた。それを聞いたレモンも妻も、今まで
水切れした草花
のようにシュン太郎だったのに、すぐさま二人で表彰状等を貰いに受付へと向かった。そして、二人が持って帰って来たものは、
準優勝の表彰状
と
JACの出場権の賞状
であった。そしてレモンも妻も、今までの悔しさは何処吹く風って感じで
ニコニコ
だ。そして、その
JACの権利状
を持っているレモンに、他の同じ道場の親御さんが、
「凄いね、凄いね!!」
って声を掛けてくれるもんだからレモンはもう
有頂天!!
である。レモンは傷ついたハウルの心にも一撃を打つ形で、ハウルに
「俺!!先にJACの権利とったしーーー」
と自慢する始末。嬉しくて、嬉しくて仕方がないようだ。それはレモンだけでなく妻も一緒のようだ。
負けたにしろ、ええお土産を頂いた
ってのが正直な顎尻おやじの感想であった。
さあ!!これから九州からの侵略者??(そんな悪びれる青年では決してない)の
セイイチロウ君
が戦う時だ。応援しなければ…。ハウルとレモンの分も…。
それでは、セイイチロウ君の戦いは次回に…。
それでは、また…。つづく…。
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