妻の涙…。

空手

なんやかんや言っても、心配していた様で…。

先日の話。

妻の涙を見た…。

長いこと妻の涙なんか…、見たことない…。その時の話。

「今日は勝つぞ!!」

と気合を入れて顎尻おやじが言うと、レモンがいつもの様に、

「いつも勝ちにいっている、でも負けるだけや…。」

と冷めた声で言う。そしてハウルも

「お前は戦わないから、呑気やねん。」

「俺らは、真剣に戦うから緊張もするんや!!」

とこれまた正論!!

つづけて、

「あんたら見ているだけで戦わんから、疲れんやろうし…。」

なんて親の気持ちも分からず言い捨てる。

 いつもの空手の大会に行く前と一緒の感じなんですが、今日は何か違う様な気がしてた…。 

  なぜか?????

って言うと、1週間前に死に物狂いの

  秘密特訓

をしたのもあるし、特にハウルは学校の運動会で久しぶりに楽しそうに出場競技に頑張っていたので(今までは全くそんなことすらなかった、何か前向きな感じがしていた。

あくまでも顎尻おやじの妄想。

そん妄想を妻に伝えるべく、

「ハウルは何か、今回の大会、やりそうな気がする…。」

と呟いていた。

 

 今回も

  リアルチャンピオンシップ

という大きな本戦の大会に出場するための

  予選会

なのだ。この予選会に何度も出場しているのだが、うちの子は

  勝てない。

  本戦、出場権獲得できず

それが続いている。

一緒にこの本戦の大会を目指して練習している子は出場権を獲得しているのに、

 うちの子は、負け続け。

なかなか勝てず、苦い涙を飲んでいる。

一緒に練習する子や、親たちも気を遣って本戦大会の話はしない…。それが若干辛い…。気を使わせているのがね。

なんとか勝たしてやりたいんやが、相手がいることですし、今年になってやっと、

    空手が面白い

って気づいたハウルとレモンですから、なかなか簡単に勝利は得られず。

今回も、二人は

 勝つ!!つもり

で出陣、出陣。いつもの様に出陣!!

 

 あまり言いたくもないが、本戦大会に出れる予選大会は今回を含めて3回。次の大会は

     徳島

まで行く遠征予定。ハウルもレモンも本戦大会を夢見ているのでなんとかして…。と思っての徳島行きまで決断。そこまでしての後残り3試合。

 なんとか…。勝ってくれ…。

願うしかない。

 戦うのは確かに顎尻おやじでも妻でもない。子供たちだ。

話戻って、大会会場に着くと、いつも一緒に練習している同じ道場の子供達も来ていた。そんななか、いつも通りにアップをしいつも通り、

 レモンからの試合。

まず、レモンの一回戦!!セコンドは妻とハウル。

 終始、優勢で、途中

 上段前蹴りを決め、

  技あり

を奪い、勝利。レモン本人からすると

    余裕

らしい。

 最近、空手の大会ばかり出ているから、すっかりレモンは大会に慣れてきた。慌てず、試合中もセコンドなどの声も聞こえて試合展開も安定している。

 そして、レモンの2回戦。格上の相手!!

 終始、優越つけ難し!!

の試合展開と思われたが、相手に

 旗が三本上がり

レモンの負け。多分、悔しかったのだろう…。

   漢(おとこ)泣き

してるレモンを妻が励ます。最近ええ試合はしているレモンであるが正直、

 勝ちきれてない…。

のが現実。

 1週間前の

  秘密特訓

も、そこを意識しての死に物狂いでの練習だったが活かせなかった。練習時の

  必死さ

や、

  勝ちたい執念

までは感じられなかったのが、冷静に見ての顎尻おやじの感想。

 もっともっと気持ちが乗った突きや蹴り

を出せるのではないかと思った。レモンには、この涙をバネに後2回の予選会、頑張ってほしい。

 そして、問題児のハウル。いつも通りレモンの試合前から既に、

  ド緊張モード。

少し前にハウルに、ド緊張状態がどの様な物か聞くと、

 「全く他人の話は聞こえず、試合してても何をしたか全く覚えてない。セコンドの声も聞こえたことがなく、試合会場にいるすべての子が、自分より大きく強く見える!!!!!!」

とのこと。近くで見ていても確かに

  顔の色も悪く、変に汗かいてるし、足も手もカチコチ。

  試合の何時間も前からすでに戦っている様な感じ。

そんな状態ですから、

 そら勝てませんわ。

って思うのが正直なところ。今日もいつもと一緒の状態に少し不安が過ぎる顎尻おやじ…。

  でも運動会でも遅いなりに全力疾走…。

  秘密特訓でも、いつもより必死さが見えた…。

    俺は勝ちたい って…。

それにかけたんやが、やはり親の欲目だったのか…。

 レモンの敗退の余韻を引きずるような形で、ハウルの一回戦。相手はハウルより背は低いが結構、体重はある相手。試合前、普段は全くしゃべらない、いや喋ることができないハウルが珍しく。

 ああゆうタイプ、得意!!

とだけ呟いた。セコンドには妻と敗戦の気持ちの整理がつかないレモン。試合では自分の能力の10%もだせないハウル。

   逆北斗神拳の達人

である。前回の大会では

   2%

しか能力を出せてないと酷評された…。

   酷評こそ評価

と言える程、余裕もない。

 今日も、体がカチコチで不自然な動きではないか???

とハウルを見守る三人がそう思っていながらの、試合開始。

そこでなんと、奇跡が起こるのである。試合開始早々、我々が見たハウルの戦う姿は、

  得意技を出せない

  動けているハウル

の姿であった。

 セコンドの二人は必死に応援。顎尻おやじも映像を撮りながら、心の中で必死に

    応援

した。今回は

    絶対に声を上げて応援しない、見守るんだ…。

と心に決めていたから、言いたいことをグッと飲み込み、祈るだけにした。それにしても携帯のカメラ越しに映るハウルは

 動けている

のである。

 これなら、イケる

と感じさせる組み手、終始前に出て積極的に技を繰り出すハウル。今まで見たことがないような戦いぶりである。そして、判定。

 文句なしでハウルに三本旗が上がり、

  勝利。

久々の勝利である。

 そして次は決勝。(彼の年代で大きい子供の参加はいつも少ない)ハウルも顎尻おやじも決勝の相手の戦いぶりは、1回戦の試合を見ていたので分かっていた。決勝の相手は一回戦は伸び伸びと戦い、圧勝していた。それにハウルよりは細いが背は同じぐらいある。この相手がハウルの心にどう映っているか…。

 逆北斗神拳奥義、誰もがデカく見え誰もが強く見える

という必殺技(自分がやられる必殺技であるが…。)を持っているので、久々の1回戦、圧勝でも気が気でなかったのは、顎尻おやじだけではないはずだ。レモンも自分の敗戦を忘れて、久しぶりにハウルが動けていることに驚いている。

 ハウルが動けた、ハウルが動けた、ハウルが動けた。

それはアルプスの少女、ハイジがクララがたった時の喜び以上(古いし、ひつこい)に驚いていた。本当はジブリのタイトルどおり、

  ハウルの動く城

なのである。ハウルは動けると城のように堅守である。まあ、動けていると言っても正直、能力の2割程度ではあるが…。確かに前回の2%よりはマシ。

 そう思いながら決勝戦!!開始。

セコンドは妻とレモン。多分祈る様な気持ちとはこのことだろう…。顎尻おやじはまたもや場外で映像撮影部隊。

 

 開始早々、嫌な雰囲気。そこには

    動けないハウルの城

が棒立ちのように立っていた。正直

 これはマズイ!!やばい!!

と思った。

   ハウル、いきなり逆北斗神拳、奥義出してる

って感じ。これは負けた!!試合開始10秒ぐらいで思ったが、これがまた変な展開に…

あれだけ前の試合、手数を出して相手に圧勝していた相手がこれまた

    奥義??

を使っているのか??と疑うぐらい動けない!!

いやよく見ると、

  ハウルにビビっている…。

  間違いない。

そう確信した。

    奥義を出しているハウルと、ハウルのデカさにビビっている相手

どちらも全くセコンドの指示も耳に入らず、妙な展開で試合が進み…。若干ハウルが押しているのか??と首を捻るぐらいの展開で残り15秒で、

    ハウルの左ミドルが相手のレバー

にぶち刺さり、相手が若干嫌な顔をしたところを、いつものハウルにはない、

    我武者らさ

を前面に出した攻めで相手を場外に押し出し、試合終了!!

 判定は、副審一人がハウルに旗を上げ、延長か??

と思っていると主審が静かに手をハウルにあげた…。

     ハウルの勝利

である。たぶん正式な空手の大会で優勝したのは初めてだろう…。本人もトロフィー🏆貰って、どうしていいか分からないような照れ笑い…。

 顎尻おやじも最後まで黙っておこうと思っていたのに、最後15秒ぐらいで得意技を大声で叫んで指示していた…。ハウルは全く得意技出さなかった、いや、出せなかったのであるが…。(後に聞くと、ハウルは初めて試合中に顎尻おやじの声が指示が聞こえたらしい、得意技だせなかったが…。これも進化かも…。)

 また、先週の秘密特訓が効いたとハウルは珍しく熱弁を振るう。

   反則取られてもエエから、相手出したる!!!練習の通りや!!

って思って残り15秒戦ったらしい。

そんな中、同じ道場の子の親御さんが拍手してくれ、ハウルや妻に駆け寄り

   祝福

してくれた。その時、その時である…。

   妻に涙が…。

   涙する顔を必死に手で押さえていた…。

その姿をハウルはどう感じただろう…。そしてレモンもどう思ったのか…。

やはり親として心配してたし、妻はいつも負けてばかりやけど勝って欲しかったんやと思う…。

    母親ってそんなもんや…。

    男の子、ほんまに好きなんやで母親って…。

まあ、こんなところで今日は終わっておくわ。また、空手の試合のことも書きますわ。

 

 しかし、妻の涙っていつから見てないやろうかなぁ…。

 ちょっと幸せやったんやろうなぁ、奥様!!

それでは、また…。つづく…。

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