衝撃の１回戦とリベンジへの序曲
リアルチャンピオンシップと言えば、
宮野道場
撃墜王の宮野館長
の道場だ。
その宮野道場主催の空手大会へ参加した。ハウルもレモンも昼からの部。選抜クラスに出場。昨年の春から多流派の大会に参加するようになった二人であるが、当初は選抜クラスではなく、
初級や初中級
のクラスに出場していた。初めはそのクラスでも勝てなかったが、なんとか形になって来たので、今年は初戦から
選抜クラス
での申し込み。
リアルチャンピオンシップ本大会
の権利獲得がメインのクラス。
その選抜クラスで重量級に出場する
レモン
が受付を終えて早々に試合がある。会場に着いてすぐに受付を済ましハウルがミットを持ってレモンのアップをしてやる。これも徐々にではあるが板について来た感がある。レモンは
先日来からの、
連続入賞に連続権利獲得
とノリに乗っているので、ノリノリでアップもしている。
今日もええ感じで動けているなぁ…。
と心の中で思っていた。そんな感じでアップを終えると早々に試合場へ向かう。待機場所でセコンドに付くハウルと妻と一緒に待機している。時折、ハウルがアドバイスを送ったり、背中を押したりしている。励ましているのかなぁ…。映像係の顎尻おやじには声も聞こえない…。寂しい限りだ…。
そんなことを考えていると、レモンの試合が始まった。相手はレモンと同じぐらいの体格の子。顎尻おやじは余り印象がなかったが、後にハウルに聞くと
「何度か見たことがある子やで」
と言っていた。そして試合開始早々、
ノリノリのレモン
が前にでる。突きと下段数発で相手コーナー側まで追い込む。もう少しで相手選手を場外に出せるぐらいのところで、相手選手が更に引く形になり、
レモンが勢い余って前のめりなって肩透かしを食うような感じになってしまった
その刹那、相手の
右上段回し蹴り
が炸裂し、
ノーガードのレモンの顔面
を捉えた。そして、そのまま
レモンはダウン
し立ちあがろうとするも完全に立ち上がる前にフラつく状況で（後に聞くと脳震盪を起こしていたらしい）主審に止められた。そしてセコンドの妻が心配そうに駆け寄り、
レモンは場外へ。
そして、主審、副審は相手選手の
一本勝ち
を示した。そして、レモンはハウルと妻に抱きかかえられる様に大会本部席に座らせてもらった。顎尻おやじも心配で
心臓が飛び出そう
なくらい不安になったが、妻やハウルは近くで見ていただけに、もっとビックリしたことだろう。妻も不安そうな顔をしている。どうやらドクターの様な方が心配して診てくれているようだ…。後に分かった事だが、ドクターの様な方が診てくれていて、
「軽い脳震盪で大丈夫だと思うけど…。」
「お母さんが心配やろうから、明日念の為、脳外科医で診てもらったら」
っとアドバイスを頂いた様だ。（ありがとうございました。感謝、感謝。）
それでも妻とレモンは大会本部席に座ったまま。動かない。反対側で見ていると、どうやらレモンは泣いているようだ…。それも今までの大会で見せた涙とは違う様な、深い悲しみと言うより、驚いた感じがあった。これも後で聞くと負けた状況を覚えてないらしい…。
相当なショック症状のレモン。
しかしレモンを母親に任してハウルが顎尻おやじの元へ。そして、
「レモンはえらいラッキーパンチ（キックやけど）を貰ったなぁ」
「勝てる相手やのに…。」
と漏らした。
こんな話を今更しても仕方がないのだが、今大会の数日前、レモンがハウルと私に
「俺は一本負けなんかしたことない」
「腹もやローを効かされたりして負けたことがない」
と自慢げに言っていた。まさしく
好事魔多し
とはこのことだ。そしてハウルに
「絶対にあんな風に慢心してはいけない」
「たまたま運が良かっただけだよ」
「常に気を引き締めて生きないといけない」
と言って聞かせたところだった。
それなら何故レモンに言わなかったのか…。悔やまれるところではあるがタイプ的に
ノリノリになったレモン
は止めれない。良い意味では乗ると手がつけられないほど強みを発揮するタイプだ。しかし悪い意味で言うと暴走してしまうのだ…。ましてや顎尻おやじの話など聞く耳を持たないのだ…。しかし、こうも早くに現実になろうとは…。
レモン、初の一本負け…。
そうは言っても次はハウルの試合の番である。正直なところ悪い流れなので、
ハウルが試合を怖がらないかなぁ…。
と心の中で思っていたが、そんなことはないようだ。いつも以上にキッチリとアップをして
「今日も動ける気がする…。」
と言う。確かにアップを見ていると
突きも蹴りも走っている
感があった。そして一回戦の相手は先日の大会でリベンジを果たした同じ選手。リベンジを果たしたとは言っても、まだ
１勝１敗
の引き分け状態だ。今日勝って本当の
リベンジ
をして欲しいところだ。
そしてハウルが入念にアップをしているところに、妻に支えられる様にレモンが戻って来た。どうやら
脳震盪
は回復している様であるが、やはり
何で負けたかも自分で分からない
状況に完全な
ショック状態
から抜け出せずにいた。言葉すら発しない。出るのは緩やかに涙のみ。妻もそれを知ってか、何も語りかけずに、そっと側に居るだけに徹していた。顎尻おやじも色々と聞きたかったが妻とレモンからは
何も聞くなオーラ
と
何も言うなオーラ
が出まくっていたので、顎尻おやじも仕方なく不安なままハウルのアップを続けるしかなかった…。（父親辛し…。）
ハウルの試合を語る前に、レモンのその後を先に記します。レモンはその後、体調は回復しハウルのセコンドに着いたりしましたが、帰宅後心配になり日曜日でも診てくれる病院はないか
#️⃣７１１９
に電話を掛けて病院を４件ほど教えていただいたのですが、電話をすれど、どこも色々な状況があり診てもらえずとなった。そして妻は次の日仕事を休みレモンと
脳外科の病院へ。
私は病院へ行っていないので詳しくは言えないが、色々と検査をしたようで
CT
を撮ってもらったが
脳などは異常なし
で夫婦だけでなく家族一同、安堵した。
ただその時、ドクターから
１、２週間は脳震盪を起こさないことが大切
と言われた様で、
次の週の大会は辞退しなければいけない状況に…。
この辺は親がちゃんと説明して退会欠場を決めさせないといけないのですが、
なかなか心苦しい決断です…。
脳は大丈夫だが、
心の傷はどうなのか…。
なかなか難しいですね。
さてさて、どうなることやら。
それでは、ハウルの試合は次の回で…。それでは、また…。つづく。
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